こんにちは!ヒデユキです。
今回の記事では、
という本について、ご紹介していきます。
最近テレビなどでよく拝見する『森岡毅』さん。USJを経営危機から救った立役者として有名です。
森岡さんがUSJに入社した2010年当時の入場者数は730万人。それを3年後の2013年には1050万人まで伸ばし、さらに3年後の2016年には1460万人まで伸ばしています。
さらに一時期は東京ディズニーシーの入場者数も超えたと言います。USJがある関西圏は、関東圏の3分の1の市場規模と言われている中でです。
このようにUSJをV字回復させたのは、数々の無理難題を解決してきたからでした。
・東日本大震災が起こり、テーマパークへの震災自粛モードを吹き飛ばさないといけない
・ハリーポッター新エリア開設し、過去最高入場者達成後。その翌年は入場者数が下がるというジンクスを覆し、さらに入場者数を伸ばさないといけない
この本は、森岡さんがUSJに入社後、どのように立て直したのかについて書かれています。
どのように課題を乗り越え、USJの入場者数をかつての倍まで伸ばしたのか?その考え方を学べる本です。
・課題にぶち当たったとき、一生懸命考えているけど答えが見つからない
・考えても考えても答えがでず、考えるのを投げ出したくなってくる
こんな経験がある方は、解決策のヒントを得られるかもしれません。森岡さんがUSJを立て直したアイデアの出し方、実行力などは、あなたの仕事にも必ず生かせるでしょう。
仕事に壁にぶち当たっている、でもどう解決したらいいかわからない。
こんな人にぜひ読んでほしい1冊です。
著者『森岡毅』さんのプロフィール
まずは著者の『森岡毅』さんについてご紹介します。
・1972年生まれ、兵庫県出身
・株式会社刀 代表取締役CEO
・NHK『プロフェッショナル』・テレビ東京『カンブリア宮殿』出演
今回ご紹介する本以外にも多数の著書を出版し、ベストセラーを生み出している、ビジネス書の作家でもあります。
今現在は『株式会社刀』を設立し、丸亀製麵の立て直しや、西武ゆうえんちのリニューアルに関わるなど、様々なところで活躍されています。
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』とは
本題『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』をご紹介しましょう。
本の概要
本のタイトル『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
想像力を搔き立てられるタイトルです。
このタイトルを見てどのようなことを想像されますか?
- きっと打破しなければいけない困難な状況があったのだろう
- どんなアイデアの末、この方法を思いついたのだろう?
こう思わせるところが、すでに森岡さんのマーケティングの一種でしょう!
この本は、USJの立て直しの事例を例にしながら、マーケティングを学べる本です。
大丈夫!実際にUSJを立て直した事例があるので、物語を読むようにマーケティングがわかります。
特に重要なのは、『このようにして立て直した』というよりも、『こう考えて作戦を立てた』という、そこに至るまでの思考が重要です。
森岡さんがどのように考え、アイデアを思いつき、実践にまで至ったのか?
そこに、私たちが仕事で生かせるヒントが転がっています。
この本の読みどころ!
この本を読んだ後、きっとこう思うでしょう。
こう思わせることが、この本の目的でもありますからね。
『この本を読んだ人が、USJに行って楽しんでもらう』ことがこの本のゴールです。
USJのこだわりや歴史、どのように困難を乗り越えてきたか?などを知ることで、ただアトラクションを楽しむ以外の発見があるでしょう。
しかし注目したいのはこの本が出版された時期です。
普通は、『無事成功した!』ことがわかってから本を書こうと思いますよね?
しかし、森岡さんは違います。普通の人ではないんです。
この本は無事に成功したことが確定してから書かれたものではありません。
出版する時期までも計算して、本業のUSJ改革が忙しい中、執筆し発売しています。
要するに、USJ改革の進行中であるのに関わらず発売してるんです。
タイトルでは『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』という、終わったあとのことを書いてるんだな〜という印象を持たせておきながら、実際はUSJ改革の進行中に発売しているんですね。
さらにすごいのは、ただ単に発売を早めただけではありません。
いつ出版すればより効果的か?どのような戦略で宣伝すればいいか?
この思考はとても勉強になります。かなり具体的にイメージして戦略を練っています。
答えはぜひ、本を読んで確認してください。
仕事に活かしたい、森岡メソッド
この本で書かれている、わたしが一番勉強になったと感じ、かつ仕事にも活かしていきたいことを紹介させていただきます。
日本人は何でも自分でゼロから始めようとする、悪い癖がある
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』より引用
森岡さんは、自分でゼロから始めるのは日本人の悪い癖だといいます。アイデアを考えるときに、自分で一から考えるのではなく、他のアイデアを真似しましょう。ということをおっしゃっています。
『学びは真似び(まねび)』とはよく言ったものですが、まさにこのことを言っていますね。
人の真似をすることはよくない!とか、自分の個性を大事に!とか言われて育ってきた自分からすると、『悪い癖』というまでハッキリ断言されると衝撃です。
でも自分の悩みや問題なんて、何年も何十年も前に、先人たちがとっくに経験しているんですね。そしてとっくの昔に先人たちが解決してくれています。
だからこそ、自分で悩むのもいいけれど、周りを見て答えを探しちゃいましょう!ということです。
そして今抱えてる悩みは先人たちが残してくれた知恵を借りてとっとと解決して、余った時間をまた別の問題解決に使いましょう。
丸パクリして著作権にひっかっかるようなことはダメですけど、『知恵を借りる』・『アイデアを盗む』ということはとても大事ですね。
よくマーケティングで出てくる言葉に、『フレームワーク』という言葉があります。
これは、先人たちが問題を解決するために試行錯誤を重ねて、どんどん磨きがかかって今残っているものなんですね。
『このように考えれば、成功確率が高くなるよ!』というのがフレームワークです。
何年も何十年もかけて実践を積みながら作り上げられた、成功確率が高くなる『フレームワーク』を使わない手はありません。
USJを立て直した森岡さんも、ご自身で考案したフレームワークに沿って物事を考えて、USJ立て直しの具体的策を実行してきました。
というわけで、森岡さんが考えたフレームワークをご紹介していきます。
森岡さん考案『イノベーション・フレームワーク』
森岡さんは、アイデアを出す前にやらなければいけないことがあると言います。
それは、
アイデアを生み出すにあたって最初に最も大切なことは、何を必死に考えれば良いかわかっていること
「良いアイデア」を出すにあたって、ほとんどの人が実はよく考えていないのが次の2点
①良いアイデアとはどんな条件を満たすアイデアのことか?
②それらの条件を組み合わせて、良いアイデアを探すにあたっての着眼点をどこに定めて頭脳をフル回転させるべきなのか?
アイデアを出す前に「どんなアイデアを出せばいいか?」をきちんと考えてからアイデアを出しましょう。ということです。
成功確率を高めるためには、アイデアの前提条件をしっかり検討してからじゃないと、せっかくの策も無駄になってしまいます。
そこで、アイデアを出すために使えるフレームワークが『戦略的フレームワーク』です。
①目的(そもそも達成すべきことは何か?)
②戦略(アイデアの必要条件)
③戦術(ここでアイデアを出す!)
アイデアそのものは③戦術であり、その前の①目的と②戦略が大事で、その後にやっと③戦術(アイデア)が出てくるということです。
この順番で考えると何がいいのかというと、
選択肢をだんだんと絞っていくことができることです。逆に言えば、考えなくていいことがわかることです。
これだけだとよくわからないと思うので、USJの実践例に当てはめてみましょう。
まずは、最初に目的を決めます。
次に、①目的『1000万人の年間集客』を満たすための戦略を挙げていきます。実際には『案④:小さな子供連れファミリーを獲得する』を採用しました。
ここで案④に絞ることで、そのほかの案①〜③にことは考えなくていいという利点があります。
①1000万人の年間集客を達成するために(目的)、②小さな子供連れファミリーを獲得していく(戦略)というところまで来ました。
戦略まで決まったら初めて具体的なアイデアを出していく。と言いたいところですが、アイデアを出す前にさらにもう1段階、アイデアの必要条件を噛み砕いていきます。
①小さな子供連れは楽しめないという意識を覆すもの
②数割増える集客に十分な収容キャパがあるもの
③予算内で実現できるアイデアであること
④既存資産との相乗効果があるもの
ここまで来てようやく、この必要条件を満たすアイデアを具体的に探してい来ます。そのアイデアの中から成功確率が高いアイデアを選ぶということです。
具体的なアイデア出しをする前に、①目的と②戦略をしっかり決めておくことで、
①成功確率が上がる
②アイデア出しがスピーディーになる
というメリットがあります。
今の時代の流れや変化はとても早いですからね。スピードはとても大事です。
『早いスピード』で、かつ『成功確率が高いもの』に経営資源を絞って行かないと、時代の流れに追い抜かれてしまいますし、生産性のない無駄な労力を使ってしまうことになります。
なので、アイデア出しの前に事前の検討がとても重要なんですね。
印象に残った言葉集
最後に、私がこの本を読んで印象に残った言葉をご紹介します。
いい言葉や心に来た名言は残しておきたいんです。
『方向性を間違えたこだわり』
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』より引用
製品のクオリティや技術を追い求めるのはいいけれど、それが売れるものなのかは別の話です。需要がない物を追及しても、自己満足の世界に浸るだけということです。
『変化への最大の敵は、「現状への満足」である』
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』より引用
何かを変えるには、強いエネルギーが必要です。逆に言えば、何も変えなくていいというのは、現状に満足しているということですね。
『アイデアが世の中に落ちていないか』
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』より引用
アイデアというのはもうすでにどこかで生まれているから、大事なのは『それをどう組み合わせるか・活用するか』です。
あとがき
いま、コロナ禍の中、会社の存続が危ぶまれている企業はたくさんあります。
企業だけではなく、個人としてもどうキャリアを積んでいくのがいいのか、悩ませている方はたくさんいるでしょう。
そんな苦しい現状を打破するために、USJをV字回復させた考え方はきっと役に立つはずです。
ぜひ、今回ご紹介した本『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』を読んでいただき、参考にしてみてください。